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rococoro
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2025/04/20 (Sun) 06:38
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2011/02/20 (Sun) 20:05
ニーナのバイトサボってどうこうイベントの話
まだぜんぜんくっついてないのを想定
(追記:書いてからADVイベントあるのに気付きましたorz
 かなり矛盾しますが…せっかく書いたので載せておきます 笑)

バンビの名前は当サイト設定の本田悠(ほんだはる)になってます
続きにたたみます








そんとき楽しけりゃいいって考えだから、
いつもはパンフは買わないタイプ。


マジに心にグッと来たらわざわざパンフ見返さなくたって、
あのシーンもっかい観てぇー! 行っとく? ってなるし。
そんなオレ。


けど、なんで買っちゃったんだか。
学校帰りに映画館行ったのが初めてだったことが関係してんのか、
初めてバイトサボったことが一因なのか、
彼女がついてきてくれなかったことにヘコんだからか。
多分、そのすべてが影響してるんだろう。


放課後、二年の教室まで迎えに行って、
バイトふけよーぜって誘ったとき、彼女は初めに驚いて、それから怒った。
説教されたってワケじゃないけど、あのカオはすっげ怒ってた。
普段ノリいいし、一緒にシフト入るときなんか、
「ここってマジ人使い荒くね?」「そうそう」とか
普通に愚痴りあったりもしてたし。


一心同体じゃなかったんだ、なんて、
こんなのオレの勝手な思い込みだし、ガキっぽいわがままだし?
わかってるけどヘコんだ。


けど、唯一オレの心の支えになってたことは、
彼女がオレの嘘を見抜いてたことだ。
休むこと、ちゃんと電話入れといたって言ったとき、
黙ってオレを見返した怖い顔。
サラッと自然に言えたつもりだし、正直見抜かれると思ってなくて、
このひとに嘘つけねーってやや震えた瞬間だった。





* オレと彼女と嘘と嘘 *






(まだ怒ってっかなー)


オレは、手に持ってたパンフを鞄に詰めて、
駅前通り、足を速めながら携帯を取り出した。
8時半を回っている。
シフト上がっていろいろやって出てきたらまだ帰り道かなーとか、
わりと部屋にいっかなーけど怒ってたら出ねぇよなーとか、
いやフロかもなーだったら出るワケねぇなーとか、
電話しない言い訳ばかりが浮かんでくる。


多分後悔していた。
彼女を巻き込もうとしたこと。
スクリーンに映像が流れてく間に、後悔はどんどん膨らんで、
いま、心ん中がすげーことになってる。


だから謝んないと、と思うのに、
なかなか通話ボタンが押せない。
呼び出した画面が何度もリセットされてった。


うだうだしているうちに、バイト先が見えてきてハッとする。
ムダに白い照明が、静まった住宅地の一角で目立つ目立つ。
そんでもって心拍上がる上がる。


ねー、マジでそこ通んなきゃダメ?


彼女になんて言って電話しようか、そればっかで頭いっぱいだったから、
迂回しなければ駅前から家までの間に必ず店を通ることになるのをうっかりしてた。
ネガティブな感情で挫けそうになりながら、
歩幅を緩めて遠目に中を伺ってみると、店長がひとりで店番してる。
デリカんとこで品出ししつつ、客がレジに来ると走って戻ったり。
なんか、マジでオレたいへんなことしちゃったっぽくね?


(震えそ…)


ていうか実際震えたけど、こりゃダメだというのが直感的に分かってしまった。
なんつーか社会人として? 的な、まぁ社会人じゃないけど、
そりゃ、怒るはずだ。
彼女が怒った本当のワケはきっとこういうことで、
スクリーンの前で2時間悔やむべきはむしろこのことだったはずで、
彼女より先に、謝んなきゃなんないところがあったんだってこと。


だから、通話ボタンが押せなかったんだって。


制服のネクタイをちょっと締め直して、心を決めて、
煌煌とした店に向かって足をまっすぐに進めたとき、
店舗裏のほうから大きな音がした。
反射的に目を向けた視界の奥で、品出し用のプラスチックのバッカンがひとつ、
転げ出てきて、くるくるまわったあとでウラになって止まった。


店長はまだそこでレジを打っている。
ということは、他に誰かシフトに入っているんだろうか。
彼女はとっくに上がったはずで、けど、


(……店長人使い荒ぇしー?)


すっげやな予感して、
謝るのはとりまあとにして走ってったら、
やっぱ彼女だった。


積み上げたバッカンがバランスを崩して、バックヤードの四方八方に散乱している。
オレは舗道に転げ出た、ウラになったのをまず拾って、
あたふたしている彼女に向かって声を掛けた。


「ハルさーん」


なんか、ひびいた。
深夜じゃないけど、大通りから一本入った住宅地、
人通りは稀で、静かで、オレと彼女しかいなかった。


「ニーナ…ッ! ちょ、ちょっとそこの、あれとかあれとか」
「はいはいわかってます〜」


オレの代わりに延びてくれてんのは明らかなのに、
そんな返事して、だる〜ってかんじの歩き方演出して、
なにオレ。なに様って思う。自分でも思う。


「あぶなっかしいから、アンタは無理しないで———


言った傍からハルさんは、足元のバッカンに躓いてよろけた。
オレは掴みかけてたのを瞬間に放り出して(無論無意識)、
そりゃもう電光石火に彼女を抱きとめに走ったワケで。


はい、演出台無しー


抱きとめた彼女の背中は、思っていたよりすっげちっちゃかった。
制服なんか脇とかかなり余ってて、隣でレジ打ってたのにオレ、知らなかったし。
バックヤードはまだまだ散らかってるってのに、
全然離すことができなかった。


「ハルさんごめん」
「……わたしより」
「うん知ってる。けど、マジごめん。こんな力仕事させるって知ってたら、
 オレぜってーサボんなかったのにぃ」


抱きしめる腕を強くして、髪の毛を隔てた鼓膜に、染み込ませるようにして言った。


「……そんなふうに言われたら責められない」
「ずりぃって?」
「そう。……そんなかんじ」


彼女はきまり悪そうに言って、身じろいでオレの腕を抜けた。
早く片付けないと、と続けたのが、半分方便に聞こえたのは、
オレの願望がそう聞かせたんだろうか。


ふたりして、今度はバランスよく積み上げながらした会話は、
いつもよりずっとぎこちなくて、
だからどうしても気付いてしまう。


オレはこのひとが好きなんだって。
同じようにオレのことも、好きになってくれたらいいのにって、
思ってしまう気持ちのこと。


「はい、これで最後だよ」
「ん」


受け取ったのを、一番上に重ねた。
そして、オレはもう一度襟元を正す。


「さてと、んじゃ謝って来ますかね〜」
「ニーナ」


彼女は、行きかけたオレのニットを引いている。
びーっと伸ばされる感覚。


「……伸びますー」
「うん。そのことなんだけど」
「ニットのことでは、」
「なくて」


手が離れていくのが惜しかった。
べつに伸びたって良かったのに、と、いま初めて思う。
相対すると、彼女は一転ニコリと笑んだ。


「バイトの新名くんは、きょうは風邪を引いてしまって、
 今頃家でうなされていることになっているので」
「———へ?」
「だから、謝りに行かれてしまうと、わたしの嘘がバレてしまうので」
「……ハルさ」


ねぇハルさん
オレ泣いていいですか
マジ陥落してもいいですか


「ただし、今回だけです」
「……はい」


ペコ、と半端に頭を下げてから、
オレは一切彼女の顔を見られなかった。
じゃぁね、と軽快に、バックヤードの扉から店内に戻っていく後ろ姿を、
チラッと目を上げて見ただけ。


やっぱでかい制服。
今度発注するときにでも、サイズ聞いたら教えてくれっかな
とかも思っていた。


オレのシフトは10時まで。
携帯開くと、あと30分くらいある。


(こんな時間に女のコひとりで帰すわけにいかねーし?)


どこで待つのが一番いいか、決めたのは近くの公園で、
オレは外灯のポールに凭れながら、ちっとも覚えていない映画のパンフを開く。
煽り文句を読んだ限り、オレにはあんま興味ないタイプの話みたいだ。


けど、次の休みにでも、オレの驕りッつって誘ったら来るかなとか、
ふたりで見たら案外超面白かったりしてとか、
恩返しになるかなとか、


オレは頭をひねりながら、さっき初めて知った彼女の、
柔らかい体温を思い出していた。





【オレと彼女と嘘と嘘・完】




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